サムプン百貨店とシンセゲ百貨店

今回は韓国・ソウルの2つのデパートの話です。

1つは、たった5年半だけしか存在しなかったサムプン(三豊)百貨店、もう1つは韓日合邦時代(1910-45)に竣工し、現在も盛業中のシンセゲ(新世界)百貨店。両者の明暗を分けたのはなぜか?


それは、建築の堅牢さにありました。


1989年12月に開業したサムプン百貨店は、1995年6月29日に建物の半分が跡形もなく崩落、1445人もの死傷者を出す大惨事を引き起こしましたが、その原因は建物自体の強度不足と、経営母体のサムプン建設産業会長で実質的最高経営責任者だったリ・ジュン(1922~2003)ら経営陣が、崩落の危険があったにも拘らず通常通り営業させたことにありました。
まず当初は地上4階・地下4階のオフィスビルとする予定で着工し、途中から地下はそのままに地上5階のデパートにすることに方針転換した・・・のはよいのですが、そこで施工担当のウソン建設が「いますぐ計画を変更しろと言われても無理だ」と拒絶したことにリ・ジュン会長が激怒、ウソン建設を追放しサムプン建設産業が直接施工する「暴挙」に出ます。
そして完成した建物はといえば・・・。

売り場に防火シャッターを設置するため柱の一部を撤去
エスカレータを設置する際に吹き抜け構造にすべく、周囲の柱を予定の75%に細めた
鉄筋の数も削減
梁を使わず柱のみで天井を支える工法とした


・・・と、日本では違法建築と認定され即、営業停止命令が出るはずの建物になってしまいます。
しかし強欲に走る経営陣は、行政にわいろを渡し営業許可を得ていたので、そのまま営業を続け、事件発生当日の前夜にはすでに天井の亀裂が目立ってきている状態になっているにも拘らず放置。発生当日には管理者のひとりが、

「このまま営業を続けると崩落し死人の発生は必至です。すみやかに営業を停止し、客、従業員を退避させるべき」

と会長に迫るほどでした。

これに対する会長と社長の意見は・・・。


「とっとと退避させろだぁ?バカも休み休みぬかしやがれ!んなモン閉店後に補修すりゃ済むことじゃねえかてめえ」



すごまれた管理者が、
「後悔すんじゃねえぞ、強欲まみれのブタどもが」
と悲しみのあまり吐き捨てたかどうかは知りませんが、その結果が「地震すら発生していないのに」たった20秒で建物が崩壊、多数の死傷者を出すという大惨事でした。さらにサムプン百貨店は、かつてゴミ処分場だったところに建設されたのでもともと地盤が弱く、崩落事故の際は、ただでさえ生き埋めになった人々の救出活動が難航しているところへ地下駐車場より火災、そして有毒ガスが発生。犠牲者の大半は酸欠死とみられ、救助活動の難航で、助かるはずの命が、立ち込める有毒ガスにより失われた可能性が非常に高いと考えられます。
経営陣は崩落前に逃げ出しますが、ほどなく身柄を拘束されました。翌年、会長には全財産没収の上実刑10年が下されるのですが、日本で同じようなことがもしあったとしたらそれ以上の厳罰は必至です。

※サムプン百貨店崩落事故につきましてはこちらの動画に詳細があります(全編朝鮮語につき注意)。


他方のシンセゲ百貨店。
ここは京城三越として竣工し、日本の敗戦に伴い三越が引き上げ、現在のシンセゲとなったものですが、ここはサムプンなどのようなオカラ建築とは比べ物にならないほど耐震強度も高く、「長く持つ建物」として日本でいえば重要文化財クラスに指定さるべき建物です。ここも最上階は増築によるものですが、もともと下がしっかりしているので安心でしょう。

ここで考えられることは、「もしサムプン百貨店の施工を日本の業者が担当していたら」。

ここでいう「日本の業者」とは飽くまで日系企業のことですが、そちらが施工していれば、まず間違いなく鉄筋の総量をより多くし、柱も太く、梁もふんだんに使うだけでなく、「どうせ上に建て増しするのなら」と先を見越した設計にしていたでしょう。
ただ日本でも、阪神・淡路大震災で倒壊した建物のいくつかで施工不良が露呈したケースがありましたので、それらも反面教師にして建設計画を進めるのは当然ですが。

ともあれ、シンセゲ百貨店は安心・安全な建物を長く使おうという意識により建てられ今なお盛業中、対してサムプン百貨店は、「とにかく早く造ってしまおう」という意識が悲劇をもたらした薄幸の百貨店、ということができます。
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プロフィール

使い。

Author:使い。
BIRTH/12,Jul.
DDヘッドと、国内海外問わずキャスト素体とを組み合わせた変則カスタムBJDのオーナーです。当家のBJDたち;
・ヒカリ(DDH-03美白+Dream Realm62)
・みづき(DDH-03普通肌+NeoAngelRegion"Fair")
・DDG-176ちょうかい(艦これに登場する重巡洋艦娘「鳥海」が現代化した姿。DDH-01美白+国内ディーラー製60cm創作素体)
・フランドール(東方projectのキャラドールです。DDH-03美白+国内ディーラー製43cm創作素体)
ほかにオビツ60を用いた、
・志摩子(まりみてのキャラドールです。DDH-06普通肌+DD胴体+オビツ60二重関節タイプ腕脚)
・ラ・テミス(DDH-01普通肌+オビツ60二重関節タイプ使用のカスタム素体)
・エルファーシア(描き目ヘッド+オビツ60球体関節タイプ使用のカスタム素体)
・蓉子(DDH-02美白+DDⅢ美白)
および、
・愛玲(MSDシンシア)
の4人もいます。
なお本館では見られない、ドールたち(と)の会話もありますので併せてお楽しみくださいませ。

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